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やっかいごとを笑顔に変えたバイオマス発電 おおき循環センターくるるん

ゴミが電気になるって本当?

 ゴミの中でもやっかいなのが、水分を含む生ゴミ。生ゴミを燃やすためには燃焼温度を高くしなければいけないので、燃料をたくさん使う上に施設も痛みやすく、燃料代やメンテナンスに多くの税金を使うという、三重のリスクがあります。
 大木町もそんなゴミの問題を抱えていました。さらに、し尿を海へ捨てることが2007年から全面的に禁止されたこと(ロンドン条約)も加わり、すぐに対応しないといけない状況にありました。そして検討を重ねるうちに、そのやっかいものを資源として活用する方法をみつけたのです。
 それはバイオマス発電。バイオマスは生物でできた有機的な資源のことで、化石燃料のように地下の二酸化炭素を放出しないので、再生可能で燃やしても大気中の二酸化炭素を増やさないと考えられています。有機物を細かく砕いて発酵させ、発生したメタンガスを燃やして電気をつくる仕組みなのですが、発酵した後は微生物がいっぱい暮らす液状になっていて、これが畑にまくとよい肥料になるという、よいこと尽くめのシステム。
バイオマス発電を導入すれば、木や草などの植物の他、生ゴミやし尿も資源になることに気づいた大木町は、これを利用して新しい処理施設つくることにしたのでした。

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環境、地域、人にいい方法を

 大木町は市民と行政が一緒に「循環のまちづくり推進委員」をつくり、2006年にバイオマス発電と環境教育施設のある「おおき循環センターくるるん」を稼働させました。そして「環境のまちづくり」を宣言し、循環型の地域をつくる「バイオマスタウン構想」に認定されました。2008年には「ゴミウェイト宣言(もったいない宣言)」も発表し、ゴミ削減にも力を入れています。
 この動きの中心となったのが、大木町環境課長の境公雄さん。境さんは市民や専門家と話し合いを重ねながら、5年間をかけてこの計画を立案しました。

「大木町の目標は、地域資源をうまく活用してムダのない社会をつくること。エネルギー、食料、ケアの自給自足をしながら自分たちでコミュニティをつくることです」

 こうして、暮らす人達が笑顔になる循環を「くるるん」をきっかけに実現したのです。

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食とエネルギーの自給率がアップ

 境さんは環境都市として有名なドイツのフライブルグに研修にいった時、こう思ったそうです。

「ドイツには昔のいいものを守るという考え方があり、それぞれの地域が自己主張していて特徴がある。それに対して日本は都会志向で同じような町づくりを進めてしまった。何が豊かで何が豊かじゃないのかをもう一度考えないといけない」

そして、くるるんの計画と合わせ、農業を中心とした循環型の仕事づくりを進めていきました。

「農産物は単価が安いから加工も含めてやっていかないといけないので、レストランをつくって地域の女性達に運営してもらうことにしました。それから、お年寄りが野菜づくりを続けたり、リタイア組がちょっとした農業を始められるように直売所をつくりました。農事組合法人をつくって施設近くの畑を借り、レストランで使う野菜もつくっています。農業の振興をしながら都市との交流を増やしていきたいと思っています」

 福岡で評判のレストランのアドバイスを受けてつくった地元野菜が食べられる店「デリ&ビュッフェくるるん」の売り上げは年間1億円、地元農産物が並ぶ「くるるん夢市場」の売り上げは年間1億5千万円ほどと、人気のスポットになりました。
 バイオマスセンターのおかげで町のゴミの焼却費用は2千万円減り、リサイクル率も61%になりました。発電後にできる液肥を使って育てた無農薬のお米「環のめぐみ」と菜種油「環のかおり」という地域ブランドもでき、成果がカタチになってきました。
 また市民出資の共同発電所「おおきグリーンファンド」を立ち上げ、町の温泉施設「アクアス」の屋上に10kWの太陽光パネルを設置しています。くるるんにも同じ規模の太陽光発電システムがあり、二か所で年間2600kWh発電しています。くるるんのバイオマスプラントでは年間約27万5千kWhの電気を発電。さらに、持ち家での太陽光パネルの普及率が12%までアップ。地域全体のエネルギー生産量が大きく増えてきました。

 大木町の、町全体をエネルギー、食料、ケアの自給自足できるコミュニティにする夢は、くるるんを通じて着実に実現に向かっているようです。
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(左)担当の境さん (右)地元野菜をふんだんに使ったビュッフェ方式のレストランと直売所を施設の中心に建設

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