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森の中のオフグリッドライフ 吉田ケンゴ

森側から社会につながる

 阿蘇外輪山の裾野にある森の中、建っているのは白いドームテント。ミュージシャンであり、楽器、アクセサリー、ドームテント、ロケットストーブなどをつくってマルシェやネットで販売しているケンゴマンこと吉田ケンゴさんは、森の暮らしも全部DIY。太陽光パネルで電気をつくり、竹で小屋をつくり、沢から水を引き、煮炊きは薪ストーブとロケットストーブ。ケンゴマンがこの生活を始めたのは、311がきっかけでした。

「以前から子どもたちには、原発が爆発したらこれを飲めってヨウ素剤を渡していたし、爆発したらどうやって逃げるかシュミレーションしていたから、三月十二日に六人の子ども達を集めて車に乗せ、西に向かったよ」

 そうやって埼玉を出た後にご縁で住むことになったこの森は、何もないけどなんでもある、何かを生み出していくところ。

「これからの時代はリアクションじゃなくてクリエイション。自分の気分づくり、環境づくり、住む場所づくりってすごく大事だよ。僕は森側に住んで、森側から社会とつながる。逆に社会側から森につながる人もいる。僕がどっかの大社長と森で会うと、自分の話を淡々とできる。町で会うと社長の話を聞かされる。自分にあったカントリーサイドで活き活き、のびのびしていると、社会から森につながる人は僕の話を聞いてくれるんだよ」

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(右)直流の電動工具はバッテリーに直接連結(左)PCや携帯も使用。BLACK&DECKER の充電式掃除機やIKEAのソーラーライトは役に立つ

電気を知り、電気を使う

「理解するということは、物事の関係を知ること」

 これはケンゴマンが好きなネイティブアメリカンの言葉。ここでの暮らしはまさに、自然と人との関係性を知って初めてできた暮らしでした。電気も同じ。電気や道具、関係性を知るといろんなことが可能になります。 独立型発電は基本的に、電気をつくる太陽光パネル、電気を蓄えるバッテリー、過充電を防ぐチャージコントローラー、直流を交流に変えるインバーターの4つをつなげば使うことができます。地球環境や原発のことを考えて、埼玉にいた二〇〇〇年頃から太陽光パネルを集めてきたケンゴマンは、年代も出力もさまざまな十七枚のパネルを持っています。使う道具によって必要な電圧(V。電気が流れるときの強さ)が違うので、用途に合わせて四つのシステムを組んでいるそうです。バッテリーは自動車の修理工場からもらってきた廃棄バッテリー(スターターバッテリー)と、電圧が安定していて充電と放電を繰り返しても痛みにくいディープサイクルバッテリーの2種類。

「僕は電気工具を使うから、作業用に24Vのシステムで、溶接もできるようにしているよ。住まいのドームテントは、全部交流にしていて、照明、ノートパソコン、携帯、充電式掃除機、エネループなどに使っているよ。カーステレオは直流に戻して使っているけど、すっごくいい感じ」
「僕は独学もいいところで、詳しい人が来ると怒られることもある(笑)。でも自分でやると覚えていくんだよね。爆発するとかすごく危険なことだけ教えてもらって、あとは自分でやってみたらいいんじゃない?」

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車に太陽光パネルをのせてバッテリーにつなぎ、シガーソケットを通して別のバッテリーに充電している

ひょうたん市場で相乗効果!

 関東では越冬キャンプ「ひょうこま」を主催したり、さまざまな環境イベントに関わってきたケンゴマン。そんな人と人との関わりの中で、あることを発見したといいます。

「人が出会って、関係性が生まれて、役割が決まると、相乗効果が起きるんだよね。ひらめき、シンクロがどんどん起きて、自分の得意なことが役立てられて、お互いにありがとうっていえるようになる。どうしたら今必要な相乗効果を起こせるかなって考えていて思いついたのが「ひょうたん市場」なんだよ!
 ひょうたん市場は8の字型にお店を並べたマルシェで、ふたつの円の中では子どもが自由に遊べたり、パフォーマンスができるようになっている。それを竹を使って、僕がここをつくった技をみんなに教えながらつくったら、すごい相乗効果が生まれるってワクワクしているよ。今土地を探しているんだ」

 ひょうたん市場は自然に近い暮らしと経済をつなぐひとつのトライアル。森から出て、どんな相乗効果が生まれるのか楽しみですね。

PROFILE 吉田ケンゴ・よしだけんご
パートナーのノブ、愛犬ポチと一緒の森暮らしは続く
ケンゴマHP: http://www.kengoma.net/
Twitter: yoshidakengoman

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