安全なお肉ってどんなもの?
オーガニックな野菜は想像できるけど、オーガニックなお肉ってよく分からない。そんなふうに思っている人、結構いるんじゃないでしょうか?
ざっくり言うと、お肉の安全性で大事なのは、加工の工程で添加物や着色料を加えていないこと。その前の飼育の段階で、ホルモン剤などの薬剤を投与せず、病気をしない健康な状態で育っていること。
豚本体の健康には、食べ物、住環境、血統などが関係してきます。熊本県大津町と菊陽町にまたがる農場でオーガニックな豚を育てている有限会社コーシンの自社ブランド豚「香心ポーク」を例に、健康な食肉について考えてみましょう。
バロメーターは病気をしないこと
有限会社コーシンはこだわりの養豚場。熊本県が開発したブランド豚「ひごさかえ肥皇(ひおう)」の生産認定農場、コープ九州産直の認定農場で、美味しくて安全な豚肉の生産に力を入れています。そんな経験の中から生まれたのが、自社ブランド豚「香心ポーク」。
「香心ポーク」は自社で繁殖から肥育までを行なっている中から優秀な雌豚の血統を選び、肉付きがよく、病気をしない健康な豚だけを集めたもので、一度も抗生物質を与えられていない豚だけが認定されています。肉質の良い血統なら、ホルモン剤などの薬剤を使って成長速度を速めたり、肉質を変える必要がないし、病気をしなければ抗生物質を与える必要もないので、薬の影響を受けない健康な豚に育つわけです。
そのために、衛生管理には特に気をつけているのだとか。豚舎への病原体の侵入を防ぐために、外部からの人や車の進入を禁止し、飼料や資材を搬入する時には消毒装置を完備しています。そしてなんと、中で作業するスタッフは毎日農場出入りの度にシャワーを浴びているのだとか。すごい徹底ぶりですね。
健康の源は食事から
牛や豚を大きく育てるためにはトウモロコシを与えるのが一般的ですが、トウモロコシは海外での生産に頼るしかなく、遺伝子組換え作物が特に多い農産物でもあります。そこでコーシンではトウモロコシは使わず、マイロ(コーリャンの一種)や麦などの穀類を中心とした配合飼料を与えています。
天然のミネラル、鉄分、マグネシウムを豊富に含んだ阿蘇の黄土・リモナイトを与えて病気をしないように育てています。
リモナイトは 鉄分を多く含む水が空気に触れ、沈殿作用がおきて生まれた黄土で、「褐鉄鉱」「沼鉄鉱」とも呼ばれます。その生成は阿蘇のカルデラが湖だった頃にさかのぼります。鉄のほか、マグネシウムやミネラルを豊富に含んでいるので、家畜の飼料やペットの餌に混ぜ、健康管理のために使われています。また、土壌改良や水質浄化にも使われているそうです。
こんなふうに誠実な食品づくりに取り組んでいるコーシンですが、熊本地震では、大津町と菊陽町にある農場が大きな被害を受けました。飼料タンクが倒れ、建物がひび割れたり傾いたりしたため、修繕や改築には5億円以上かかるといわれています。豚の流産などもありましたが、よい物をつくり続けようという想いで地震後も精力的に活動しています。
そんな中、各地の催事やマルシェに出店してお客さんとの交流を深めている専務の熊野博崇さんにお話を聞きました。
<阿蘇天然ミネラル豚・香心ポーク②につづく>