怒りを愛へ
人類ははるか昔
本当の時を奪われたせいで五感が低下し
テレパシーだとか想念の力とか
今とは想像を遥かに超えた
別の次元のクリエイテイプなテクノロジーを 失ってしまったんだよ。
センセーショナルな言葉で始まる「human ERROR(ヒューマンエラー)」。
311の直後に発表されたこの曲はリスナーに強烈なインパクトを与えました。ありのままの日本を鋭く歌い綴った十七分間。高感度な内容とストレートな言葉に多くの人が強烈なインパクトを受け、くぎづけになったのです。
しかし、この曲をつくったヴォーカルのリー・タパスコさんは次第に、曲のヒットを心から喜べなくなっていきました。
「あれを聴いて喜ぶなんて世の中おかしい」 彼は歌うために怒りのエネルギーを生み出すのに疲れてしまっていたし、この曲をリクエストする人達が、聴いてフラストレーションを解消しているようにも感じたのでした。
「言いたいことがあるならはっきり言おう。はっきり言わない世の中になっているからおかしくなっている。専門家でもないアホでも本能でわかるやろー 。何が大切かを自分で見極めてはっきりものを言ったらいい」
そしてそのために 「堂々と人に伝える姿をオレが見せたい」 何を伝えるのでしょう?彼が一番言いたかったこと。それはとてもシンプルでした。 「たとえどんな悪い人でも、求めているのは一緒。愛だと思う。そこしかない」 そして、ステージから愛を伝え続けました。
次の物語が始まる
選挙フェス最終日、そのステージにフライングダッチマンは姿を見せました。
「自分や世の中に生じる矛盾や葛藤を、一歩踏み込んでどんどん表現していけば、新しい世界が見えてくるはずだよ」
「怒りの奥にある愛のエッセンスをみんなで膨らませていこうぜーーー!」
ヒューマンエラーは常にバージョンアップされながら歌われてきましたが、この日、彼らのロックンロールは世界へのラブソングになっていました。
「愛してるよーーーーー!」 東京のど真ん中で愛を叫ぶモヒカンの男。その顔は喜びにあふれていました。そこには怒りを超えたエネルギー、絶望から愛への生まれ変わりがありました。
ラブレター「ヒューマンエラー」はここで一旦おしまい。そしてこの日からまた、フライングダッチマンの新たな愛の物語が始まったのです。
PROFILE FRYING DUCHMAN・フライングダッチマン 2002年京都で結成。2011年発表の「hyman ERROR」がU-tubeでトータル再生回数100万回を超え、各地でセンセーションを巻き起こす。フェスやライブツアーで日本各地を回るとともに、2014年は東アジアでもライブツアーを行う。2015年からメンバーの脱退が続いてvocalのLee Tabasco(写真)以外のメンバーが入れ替わり、2016年に強力メンバーを迎え、新たな布陣で再発進している。
選挙フェスについて☞三宅洋平インタビュー「響き合う ありのままの言葉」